家族を残し単身で挑む離島移住のリアル                 

2025.05.30

島民インタビュー

家族を残し単身で挑む離島移住のリアル                 

定期インタビューで語る覚悟と夢

今回は2025年2月に下甑島の手打地区に移住して来られた寺野さんにお話し伺いました。
お話を伺ったのは寺野さんが島に来て一週間が経った頃でした。

今後、定期的に寺野さんの島暮らしの様子を追わせていたき記事にしていきたいと思います。

愛知県で長年バスの運転手をしていた寺野さん。もともと定年退職後や早めに仕事を辞めて、自然豊かな環境でのんびり暮らしたいという願望を持っていたそうです。

3年ほど前からNFTやアートのコミュニティに興味を持ち始め、そこで知り合った下甑島・手打在住の松田さんと交流を深める中で、甑島を訪れる機会が増えました。

▼ 詳しくは、松田さんのインタビュー記事をご覧ください!

島の魅力に惹かれ、何度も訪れるうちに、島の良さを実感し、移住を決意。

また、松田さんが甑島でビール工房を始める計画を知り、その手伝いをしたいという想いも移住の決め手となったといいます。現在はビール工房の準備、宿の手伝いなどやることが次々と舞い込み、忙しさとともに充実した日々を送っています。

 

長年の思いが実を結ぶ

奥様を説得する時は松田さんにも同席してもらいました。

反対される覚悟で話をしたそうですが、奥様からは「この人頑固だから言い出したら聞かないので、主人の事をよろしくお願いします」と意外な言葉が返ってきたと言います。

お子さんの学校の事もあり奥様と二人の娘さんは愛知に残り単身で島に移住することになりました。

「田舎暮らしがしたいという事は前からずっと話していたので、やりたいんだろうなというのは分かってくれていたと思うのでもしかしたら心の準備は出来ていたのかもしれないです」

そして、出発の日は「頑張っておいで!」と送り出してくれました。

子供に寂しい想いをさせたらダメだと思い島に来た日から毎日電話をしていたと言います。最初の2,3日は「パパ大丈夫?」と心配してくれていたお子さんたちも一週間ほど経つとあまり興味を示さなくなってきたそう、、、、

『今は彼の方が寂しがっております、、、、』と松田さんが笑いながら話してくれました。

島では、ビール工房の準備と並行して、宿の手伝い、NFTやゲーム制作などのクリエイティブな活動も行っており、インターネット環境さえ整っていれば場所にとらわれずに仕事ができる状況だと寺野さんはいいます。今は新しい生活と仕事のバランスを模索している最中です。

危機を好機に
   新たな可能性への挑戦

寺野さんがNFTやゲーム制作を始めたきっかけとなったのは、数年前バイク事故で仕事を1年間休職したときでした。

休職期間中はイラストを描いたり、Blender(ブレンダー)というツールを使った3Dのアート作品を作ったり、その作品をNFTで販売したり、オンラインで3Dを教えたり、ゲームを作ったりと様々な事に挑戦しました。

3Dで色々と作ったりすることが、たまたま自分に合っていて得意な分野だと気づいた寺野さん。

寺野さんのYouTube画像

「この休職期間がなければ、仕事を辞めることも松田さんと知り合うことも島に移住することもなかったと思います」と振り返ります。

事故による休職期間は、一見不運に思えますが、寺野さんにとって新たな扉を開くきっかけとなりました。NFTやゲーム制作といった新しい世界に触れることで、自分の可能性に気づき、やがて島へ移住する夢を実現する力となったのです。

ネット環境が整っていれば、場所にとらわれない働き方やライフスタイルの選択肢が広がります。リモートワークやテレワークの普及により、より柔軟な働き方が実現しつつあります。

島での住まいは松田さんが手配してくださり空き家を借りることができました。

移住してすぐに、家の横にあった崩れそうな古い小屋を解体することになります。「早速すごい経験ができているな~って思います。体中が痛いんですけどね、、、」と寺野さんは楽しそうに話してくれました。

そして「島の冬はもっと暖かいと思っていた」と、島がとても寒かったことにビックリしていました。「家の中も白い息が出るくらい寒くて松田さんが用意してくれていた暖房器具がなかったら耐えられなかったかもしれません」

現在は家の片付けの途中で、まだ自炊もできない状態。愛知の自宅ではお菓子や食料が常にあり、好きな時に好きなだけ食べる生活をしていたそうですが、今は宿の手伝いに行った際に、松田さんが作ってくれる料理を楽しむ日々です。

「お腹が空いてからご飯を食べてるっていう事もあるけど、松田さんが作ってくれた料理がめちゃくちゃ美味しくて、毎回これは人生で一番おいしいご飯だって言いながら食べてます」と嬉しそうに話してくれました。

一番が日々更新されている!
この生活を一回みんなに体験してほしい

「まだ家のお湯が出ないので、あったかいお湯ってこんなにありがたいんだ~とかって感動したりして、制限されたり不便なことも楽しいなと思えてます。今まで感謝することなんてなかったことがありがたいと思えるようになったのですごく嬉しい変化です」と寺野さん。

これからキャンプをしたり魚釣りをしたりスイカを育てたり、みんなが遊びに来てくれた時にお出迎え出来るようなキャンプ場みたいな面白いものも作りたいと今後の展望を話してくれました。

「コミュニティの人たちもすごい興味を持ってくれて、声をかけてく れたりするので、すごい励みになるし。そういうところも、一人じゃないっていうか。これは心強いです」

「だからもっと自分でも、いろいろ音声配信とかやってるのでそういうことで、みんなにお返しじゃないですけど、やってることを見てもらって、楽しんでもらいたいなって考えています!」 

                                           つづく

『不運と思える出来事の中には、人生を変えるきっかけが潜んでいます』

人生のすべての選択や決断、そして物事の捉え方は、最終的には自分自身の手に委ねられています。だからこそ、価値観や信念を大切にし、時には思い切って新しい挑戦をしてみることで、思わぬ良い方向へ進むこともあるでしょう。

これから始まる寺野さんの島暮らしがワクワクに満ちた素敵なものとなることを願っています。

気になる今後の寺野さんの様子は、第二弾『~島に暮らして三、四ヵ月後~』の公開をお待ち下さい。